2015年10月24日土曜日

子どもの虐待・DV・体罰・しつけ・


 「児童虐待、最多8.9万件 対象拡大 14年度対応」今年もこんな新聞見出
しで、10月8日に、児童相談所の虐待対応件数が報道されました。

 でも、みなさんは、「とどまるところを知らぬ日本の子育て状況の荒廃」な
どと言ったセンセーショナルに扱いたいマスコミの根拠のないリアクションに
踊らされて世を憂えること、くれぐれも無いように。

 虐待やDVの対応件数は、取り組みが進めば進むほど増加していきます。アメ
リカでも1960年代に取り組みが始まって、1990年代まではうなぎのぼりに上昇
し続けましたが、その後、低下していきました。福祉、医療、保健、司法、教
育、メディアのあらゆる分野での虐待対応の取り組みが進んだ一定の時期から
減少し始めたのです。

 日本は、今まだ試行錯誤しながら取り組みをすすめている最中です。その歩
みは、米国のこの分野で仕事をしていたわたしの感覚では、あまりに緩慢です
が、虐待対応件数が毎年増加していることは、取り組みが進んでいることを示
していると言えましょう。

 ただし、日本では、厚労省が第一次予防、すなわち虐待の発見、通告、介入
ばかりに力点を置いているために、初期対応件数は増加しても、家族へのケア
が予算的にも、人員的にも、資源が少なすぎ、追い付いていきません。

 それどころか、児童相談所では、通告の多さに振り回されて、親、家族への
対応に今まで以上に手が回らなくなっている現状です。この現状をどう打開す
るのか、わたしも司法や福祉の研究者らと論議を重ねながら模索しています

 虐待する親の回復支援プログラム「MY TREEペアレンツプログラム」の実践
は、今年で14年目になります。主催してくれる全国の児童相談所の数は思うよ
うに増えませんが、自分を変えたいと苦闘する親たちと深く関わる実践は、虐
待という問題に対していつも希望を与えてくれます。

 11月と12月の研修では、それぞれが自分のいる場で何をどうしていけるのか
を学びます。わたしの研修には、福祉、医療、教育、司法の現場にいる方、研
究者、そして当事者、学生、親、時には高校生も参加されます。参加者全員一
人一人が安心して最大限の学べる場を提供することが、トレーナー・キャリア
30年のわたしの自負です。

 子育て、しつけと体罰、子ども虐待とDVについて、新しい視点、人権を基盤
にしたゆるがない理解、最新の知識、そして全国から来られるさまざまな立場
の参加者との意見交換を体験してください。この2つの研修も20年間続けてき
たテーマですが、内容はいつもパワーアップしています。友人、同僚、知人も
誘っていらしてください。

各研修の申込方法・申込用紙等は、下記ページをご覧ください。
http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/1129and1219/1129and1219.html




2015年9月11日金曜日

 2015911
大阪城笑いヨガ
95日は私の誕生日。笑いヨガリーダー養成講座第一日目の後、大阪城公園で誕生日笑いヨガをしました。円になってお弁当食べながら自己紹介を廻したらもう7時。暗くなり始めた西の丸庭園前の広い路上をほぼ占拠して、20人の2070歳代の異年齢女たちが「ホホハハハ」「ホホハハハ・イエー」「ワハハハハハ」と40分近く笑い続けての健康体操。道行く人たちが少なかったのが救いでした。犬連れて散歩の人の犬もびっくりジャンプ !
来てくれた皆さん、ライトアップ大阪城での大笑いヨガのバースデー・プレゼントを心からありがとう。


笑いヨガリーダー養成講座
20人のLaughter Yoga International University 認定の笑いヨガリーダーが誕生しました。青森から二泊三日で来てくれたお二人、鳥取、広島、岡山、関東と遠方からの方々、本当にご苦労様でした。「なんでこんなに楽しいの!?」と誰もが口ぐちに言い合っていた二日間。教えるわたしも、楽しくて楽しくて、笑い筋の大頬骨筋がフル稼働でした。
「<ストーリー作り笑いヨガ>のグループ発表、すごかった」「プレゼンテーションのコツをたくさんいただきました」「森田さんならではのエンパワメントの深みある笑いヨガを学びました」「4つの呼吸法しっかりと学びました」「前宣伝通り、明日からリーダーになれる講座でした。やる自信いっぱいです」等々の嬉しい感想をありがとう。



  ヨガとマインドフルネスのセミナー案内
「笑いヨガ」はさておき、ヒーリング・ヨガの治療的効果の研究が欧米で続々とマスコミで報道されています。 数日前のCNNニュース(アメリカの最大TVニュース)は、「ヨガで摂食障害を治したティーンズ」と題して、わたしのアメリカの家の隣町に住む13歳のティーンズをクローズアップしました。
マリスは13歳の時、深刻なアノレキシア(拒食症)の診断で入院。病院のベッドで死を待つかの如く横たわっているだけの彼女を救ったのは、薬ではなく、ヨガでした。何か簡単な運動をと勧められ、近所の無料ヨガクラスに足を運んだことが人生のターニングポインとなりました。
「緊張とゆるみを繰り返す私の筋肉、血管をめぐる呼吸、目覚める細胞の一つ一つ。ヨガマットの上の私のからだの細部が呼吸とともにリアルに感じられ、自分の身体へのいとおしさで胸がいっぱいになりました。その時、わたしは生きていることのあふれんばかりの喜びを実感しました。長い間自分の中で死んでいたいのちが息吹をあげたのです。」
その後マリスは、ヨガスタジオの受付のバイトをし、更にヨガインストラクターの資格を取って、若きヨガティーチャとなりました。
 

    ALOHA KIDS YOGA
わたしは虐待のトラウマや発達障がいのある子ども達に、無償ボランティアでヨガを教えています。 2つの児童養護施設と2つの情緒障害児短期治療施設で教えているので、週4日のヨガ三昧です。教えた100人ほどの子ども達の中から、今は10人のティーンズのジュニアリーダーが誕生しています。彼らはわたしのアシスタントとして他の児童施設にわたしと一緒に教えに行きます。 11月に子ども虐待防止学会でこのティーンズがヨガのプレゼンテーションをします。見に来られる児童虐待の学者さんたちに、彼らが簡単なチェア・ヨガを教えます。今、猛練習中です。
感情および行動コントロールの困難さ、自己評価の低さ、極端な自信の無さ、フラッシュバック、不眠、自傷、体罰や性的虐待のトラウマ、知的な遅れ、感覚過敏などで悩み苦しむことの多い子どもたちが、マリスのように自分の身体へのいとおしさに目覚め、自分の奥深くで静かに光る輝きを発見してくれることを願ってクラスを続けています。
 
身体が硬いから、太っているから、歳だから、男だからと、ヨガを敬遠してきた方。 926日の一日セミナー「アロハ・ヒーリング・ヨガと心身のエンパワメント」に是非ともご参加ください。
呼吸法と優しいヨガの動きをする中で、マリスの経験したような自分の身体への愛おしさと感謝がこみあげてくるのを体感されることでしょう。PTSDを持つ方への簡単なヨガ、うつの人への目覚めの3分間ヨガ、膝や腰の痛い人へのケア、体幹トレーニングをしたい人へのヨガの基礎トレも伝授します。
ヒーリング・ヨガの治療的効果はたくさんのエビデンス以上に、私自身の体験から自信をもってお伝えすることができます。3年前、診断のつかない心身の不調から仕事ができなくなり、ハワイに引っこみました。ヨガは10年以上前からやっていたのですが、ハワイの自然の中でヨガ・インストラクターになり、地元の高齢の方々に教える中で、急速に自分の心身が息吹を取り戻していったことはまさに奇跡でした。来る日も来る日も奈落の底で這いずりまわっていたような苦しくつらかった日々が今は信じられません。
92627日のセミナーで、呼吸と背骨の5000年のインテリジェンスを学んでください。 ヨガとマインドフルネスのパワーを実感し、たくさんの気づきを得てください。仕事、活動、家庭生活でヨガとマインドフルネスの具体的な活用方法を学んでください。
特に、医療、健康、福祉、心理、教育の分野の方々は仕事や活動で明日からすぐに使えます。わたしは大企業の管理職向けのダイバーシティ研修の中でも10分間ヨガとして教えていて、好評です。
これをきっかけにヨガとの出会いを確かなものとし、90歳、100歳の高齢になるまでずっとヨガを続けてご自分の心身の健康を大きく豊かにしてください。

926() 「アロハ・ヒーリング・ヨガと心身のエンパワメント」
927() 「マインドフルネスと共感力:チェア・ヨガと瞑想による共感力訓練」
どちらも10時~17時です。
会場は大阪市市民交流センターひがしよどがわ    JR新大阪駅から徒歩3分   

この二つのセミナーの受講は、来年2月から始まる第二回ALOHA KIDS YOGAリーダー養成講座のリーダー認定のためには必須です。



詳細申し込みempowerment Center  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/
チラシ blog        http://enpowerment-center2.blogspot.jp/



2015年8月30日日曜日

中一男女誘拐殺害事件から



 親 、子ども、学校関係者を震撼させた中一男女誘拐殺害事件の発生から15日目、事件の起きた寝屋川市の子ども室の依頼で講演をしました。教師、校長、教育委員会、児童福祉、相談員、保健師、保育士、心理士、民生児童委員ら約150人の方々。何ができるのか、三つの提案をしました。①今、街中に蔓延している不安の感情をどう受け止めるか。不安や怒りの感情的リアクションから対策を考えると大きく間違う。10年前の寝屋川市立中央小学校教職員殺傷事件後の対応から何を学ぶか。 不安は危険な感情。不安に圧倒されると人は思考停止になり、理性的な判断ができなくなる。リアクションとしての対応策を講じて、子どもたちのために何かをしたと思わないでください。警察パトロールや見守り隊巡回強化で、ティーンズの夜間徘徊を減らすことはできません。
②ティーンズの発達を理解するキーワードは「帰属感」です。子どもたちの夜間の居場所つくりの緊急性。家庭にも学校にも居場所がない子たちのサードプレイスが必要です。
③あなたは子どもの話を聴ける大人ですか。「うざいな」と言ってそっぽを向く子どもにどう語りかけますか。ロールプレイで練習しました。


ところで、首相官邸の下に設けられた教育改革国民会議は、教育を変える17の提言で「人間性豊かな日本人を育成する」目的のもと、資料にはぎょっとするような提案が散見されます。
「『しつけ3原則:甘えるな、他人に迷惑をかけるな、生かされて生きることを自覚せよ』の実施」「お寺などで『我慢の教育』」。「子どもを厳しく飼いならす必要があることを国民に覚悟してもらう。」「警察OBを学校に常駐させる。」「他の子どもの学習する権利を妨げる子どもを排除する権限を学校に付与する。」「家庭に床の間、学校に教壇の復活」等々。
今回の寝屋川事件を引き合いにだして、時代錯誤なこの教育改革提案が主張されることを恐れます。日本の学校教育は改革が必要ですが、こんな内容の改革が家庭、学校で徹底されたら、今回のような事件発生の危険性は一層増大するでしょう。

関連テーマの研修案内
1129日(日)10~17時 新大阪会場 (JR新大阪駅より徒歩5分) 
「しつけ・体罰・虐待:体罰の子どもに与える影響と体罰に代わる子どもとの関わり」
講師:森田ゆり  講義、グループディスカッション、アクティビティー、ロールプレイ
詳細・申し込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


2015年8月26日水曜日

誕生日祝い+大阪城笑いへのご招待



956日に「笑いヨガのリーダー養成講座」第一日目の95日は、森田の誕生日です。
17時に終了後、希望者と一緒に大阪城公園で「誕生日祝い+大阪城笑い」をします。

講座の最中なので、それぞれがお弁当、飲み物持参になります。

「笑いヨガリーダー養成講座」に参加しない方でも、「誕生日祝い+大阪城笑い」だけの参加大歓迎です。9518時にJR環状線森ノ宮駅近くの大阪城公園内の噴水の前で会いましょう。19時半ごろまで、笑い体操をしたり、お弁当食べたり、おしゃべりしたりしています。参加費はありません。ご自分のお弁当、飲み物をご持参ください。



「笑いヨガのリーダー養成講座」は大阪芦原橋での開催、まだ申し込めます。
これは、 Laughter Yoga International University 認定資格講座です。
資格取得のための試験はありません。2日間の研修に参加するだけで認定証がもらえます。

すぐ翌日から笑いヨガセッションを成功の裡にリードできるようになるための養成講座の内容を今、練っているところです。森田ゆりによるこの養成講座は今回限りで、来年の開催予定はありません。

http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


2015年8月17日月曜日

アサーティブネス研修と笑いヨガリーダー養成講座


88日、9日、今年のアサーティブネス研修(2日間)が終わりました。
沖縄、四国、関東など遠方からも参加。高校1年生からオーバー60歳、年齢、性別も多様な参加者で、その分たくさんの気づきと豊かな学びの連続で感動的でした。
 このアサーティブネス研修は、22年続けています。最初はカリフォルニア大学で5年。日本では、エンパワメントセンター主催で17年。教師、医師、弁護士、保育士、心理士、福祉士、刑務所教官から、主婦、学生、占い師、俳優、相撲部屋の親方まで! 本当にさまざまな人々が受講されました。アサーティブネス研修指導者も養成して、行政や企業で研修をできる人が誕生しました。
森田のアサーティブネス研修の特徴は、率直に表現するコミュニケーションのスキルを練習する前に、自分を深く理解する作業。自分の内側にアンテナを張る訓練です。スピリチュアルなアサーティブネスの理論と実践スキルをしっかりと構造的に学びます。
自己診断ワーク、アサーティブの10のコツ、アサーティブである権利のアクティビティなど。ペアで、グループで相互に学びあいます。
2日目のロールプレイは、感動でした。同僚に言いたいことが、実はインナーチャイルドが亡き母に言いたかったことであると判明。その方は小さな子どもになって長年母に言いたかったことを言うことが出来ました。涙と共に大きな浄化が起き、参加者に伝染しました。


そのほかにも上司にずっと言えなかったことをロールプレイで練習。森田からのコメントを受けてやり直しをし、自信がついたそうです。 
一日目の研修終了後、数人の参加者と難波淀川の大花火大会に行き、夕飯弁当食べながら楽しい時間を持ちました。

さて、9月の研修は「笑いヨガリーダー養成講座」です !!
20年前、インドの内科医ドクターカタリアが5人の仲間と始めて、今や世界的な大ブームとなった「笑いヨガ」。日本でもたくさんの笑いヨガリーダーが、医療、保健、教育、ビジネスの様々な分野で、笑いの健康講師として活躍しています。特に、老人介護、認知症ケアの現場では大人気。
この講座は、DR.カタリアのLaughter Yoga International University認定のリーダー資格が取得できます。
                          Dr.カタリアと
森田が講師なので、エンパワメントの視点から笑いの治癒力をお話しします。笑いヨガワをさまざまな場で教えられるように、1時間、30分、15分バージョンで練習します。加えて、職場や地域で簡単に教えられるチェアヨガ、マインドフルネス瞑想のやり方も伝授します。
95日、6日 10時~17時 大阪芦原橋の市民交流センターでの笑いの渦にあなたも!


95日はわたしの誕生日。「誕生日笑い」をやりましょう。
詳細・申込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


        わたしの属するカリフォルニア・オークランドの笑いクラブ                      

2015年8月3日月曜日

元少年Aにしかできないこと                森田ゆり

「絶歌:神戸連続児童殺傷事件 元少年A」を読んだ。そしてひどくがっかりした。後半4分の1は読み続ける気がなくなった。
がっかりしたのは、多くの評者が述べているらしいこと、つまりAの反省の言葉が少ないからではなく、Aの記述が自己顕示的だからでもない。 Aが、関東医療少年院で受けた6年半に及ぶ治療・矯正教育について完璧に沈黙し、ただの一言も書かなかったからだ。
19971020日。この日、(略)僕は、鑑定医たちが『数パーセントのわずかな可能性』と観測した『更生』へと向かって、おぼつかない足取りで歩いて行った。」で第一部は終わり、第二部は「21歳の春、僕は65か月に及んだ少年院生活を終え、社会に出た。」の一文から始まる。あたかも、その間だけ削除したかのように少年院での更生の日々の全てがすっぽりと抜けているのだ。
少年院でどのような治療矯正教育がなされたのか、それをAはどのように受け、その間どのような抵抗と寛解と、困難と成功があったのか。精神医療的な、あるいは心理療法的な、あるいは社会スキル的なプログラムはどのように組まれたのか。どの時点でどのような試行錯誤と前進とがあったのか。そのためにどれだけの時間と人的資源と経済資源とテクノロジーとが投じられたのか。
逮捕後の医療鑑定で「性的サディズム」と「行為障害」と診断された14歳の少年Aの病気に対して、6年半にわたってどのような治療がなされたのか、それはどのように効果を発揮し、退院が可能となったのか。
平易な言葉でいうなら「サイコパス」という他者への共感性の脳機能に異常のあった状態から、どのように脳は感情機能を回復したのか。日本のみならず、世界でこの分野で仕事をする者ならば、なんとしても知りたい事例なのである。
原則2年間で収監を終えるところを、Aは異例で6年半まで延長されたうえで、治療更生の完了と認定を受けて社会に出た。

「少年A 矯正2500日 全記録」草薙厚子著という本が2004年に出版されている。表紙には「極秘の贖罪教育と矯正教育を初めて明かす衝撃のレポート」との宣伝コピーがついていたが、題名およびコピー文と本の内実にはかなりの隔たりがあった。当然のことだが、治療矯正教育の内容は大まかなことしか書かれていない。この著者は過去15年間に話題になった特異な少年事件をかなり突っ込んでルポしていることで知られているが、取材で書けることは当然限られている。少年Aの治療法として、女性の精神科医を母親役として疑似家族を形成し、Aを赤ん坊の愛着形成から育てなおす方法が効果を奏したことがうかがえるにすぎない。

関東医療少年院で、日本のトップレベルの精神科医と多くの専門家とスタッフ総がかりでの、6年半の歳月を投じた回復治療対応には、莫大な公費が使われている。本来その経験は社会に還元されるべきものである。法務省がそれを公開し、貴重な社会的資源とすることが出来ないのだとしたら、それを公けにできるのは、A本人しかいない。それを期待していた。
共感力をとりもどしたAは、本書の中で、自分のしたことへの罪悪感にうちのめされながら、「贖罪」するには何をすればよいのかと苦悩している。被害者の遺族に対して、自分の家族に対して、社会全体に対して贖罪をしたいと強く望んでいる。ならば、答えは明快ではないか。
遺族、家族、社会、その誰もがなによりも願っていることは、二度と同じような事件を発生させないことだ。ならばAの贖罪とは、そのために貢献することにほかならない。Aと同じような障がいを持つ人が犯罪を犯さないために、本人は、家族は、相談員は、医師は、教師は、警察は、司法制度は、児童福祉制度は、何に配慮し、何をしたらよいのかを炙り出す自分事例検討、べてるの家風に言うのなら「当事者研究」をすることができるではないか。共感性や罪意識が欠如し、誇大な自己陶酔感に浸ってしまう脳の異常作動に苦しむサイコパスは日本でも少なくない。
Aが第一部で克明に描写した幼少期から事件に至る迄の、どこでどのように外からの関わりがあれば、殺人に至る迄の「性的サディズム」行動化のエスカレートをストップすることができたのかを書くことで、犯罪予防への多大な貢献ができる。猫殺しを夢中で続けた2年間に、二人の少女を路上で襲い彩香ちゃんを殺害してから、級友のダフネ君が、あれはAの仕業だと学校内で触れ回るまでの2か月間に、 ダフネ君をして直後に転校させるほどに恐怖に陥れたAによる残虐なまでの殴打とナイフでの襲撃から、淳君殺害までの10日間に、誰がどのようにAに関われば、自分でも止められなくなってしまったサディズム行為のエスカレートをストップできたのか。第二部で、少年院を出てから11年間のどん底暮らしでいかに多くの苦労を重ねたかをぐだぐだと書き綴るのではなく、Aはそれをこそ、克明に書くべきだった。
事件に至る前の精神科医での診察、児童相談所でのカウンセリング通所、学校教師による親の呼び出し、それらひとつひとつが、行為のエスカレートに拍車をかけこそすれ、抑止につながらなかったのはなぜか。どのような対応がどの時点であれば良かったのか。そして6年半の少年院での治療矯正教育での自分の変化のすべてを克明に書いてほしい。
それを徹底的に追及して社会に提示することができたとき、Aは初めて、身勝手な自己弁護ではなく、彼の言葉を使うならば「自分自身から逃げる」ことを止め、「自分の過去と対峙」することが出来るだろう。


一杯の水に合掌 原爆忌      父・森田宗一の句です。




 明日8月4日から3日間、広島です。暑い、熱い広島の夏。 汗ぬぐいながらの平和記念公園。

いつも不思議な出会いがあります。
写真は、まだ背高女としてあちらこちらと出没していた数年前、平和公園でアメリカ・インディアンリーダーのデニス・バンクスにばったり。デニスは、わたしを見上げて「わーおおおお!!」   デニスとは「聖なる魂」という彼の半生記の本を一緒に書いて、1988年に朝日ジャーナルノンフィクション大賞をいただきました。

今年はどんな出会いがあるでしょう。

今週末のアサーティブネス研修で、広島の3日間体験をシェアしますね。



アサーティブネス研修のご案内
日時:2015年8月8~9日 (土・日)  AM1000PM500
場所大阪市市民交流センターひがしよどがわ
テキスト:『アサーティブネス研修ワークブック』(森田ゆり著エンパワメント・センター) 
サブテキスト『多様性トレーニングガイド』(森田ゆり著 解放出版)
参加費:20,000円(テキスト代は、別)
目的
アサーティブネスの方法とスキルを学び、ロールプレイで練習する。
内容
自己診断/わたしの内なるちからへの信頼/短所は長所/怒りの仮面/
否定的なひとりごとの書き換え/I(わたし)メッセージの練習/アサーティ
ブスキルのまとめ/自分の課題でロールプレイをしてコーチングを受ける
アメリカと日本で、25年間毎年実施してきて、すでに2000人以上の
受講修了生がいる最も人気のある研修。アサーティブ・コミュニケーション
力をつけるには、他者にどう対応するかのスキルを学ぶ以前にまず自分を
知ることが不可欠です。1日目は、自分を深く知るアクティビティと、他者への効果的な対応をワークシート、グループワーク、ロールプレイでしっかりと身に着けます。2日目は、参加者が自分の課   題でロールプレイをし、森田が逐一適切なフィードバックでコーチングをします。多くの修了生が、人生の大きな転換になったと感想を述べています。 

詳細・申し込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/



  • 9月の研修は、笑いヨガリーダー養成講座