2015年8月30日日曜日

中一男女誘拐殺害事件から



 親 、子ども、学校関係者を震撼させた中一男女誘拐殺害事件の発生から15日目、事件の起きた寝屋川市の子ども室の依頼で講演をしました。教師、校長、教育委員会、児童福祉、相談員、保健師、保育士、心理士、民生児童委員ら約150人の方々。何ができるのか、三つの提案をしました。①今、街中に蔓延している不安の感情をどう受け止めるか。不安や怒りの感情的リアクションから対策を考えると大きく間違う。10年前の寝屋川市立中央小学校教職員殺傷事件後の対応から何を学ぶか。 不安は危険な感情。不安に圧倒されると人は思考停止になり、理性的な判断ができなくなる。リアクションとしての対応策を講じて、子どもたちのために何かをしたと思わないでください。警察パトロールや見守り隊巡回強化で、ティーンズの夜間徘徊を減らすことはできません。
②ティーンズの発達を理解するキーワードは「帰属感」です。子どもたちの夜間の居場所つくりの緊急性。家庭にも学校にも居場所がない子たちのサードプレイスが必要です。
③あなたは子どもの話を聴ける大人ですか。「うざいな」と言ってそっぽを向く子どもにどう語りかけますか。ロールプレイで練習しました。


ところで、首相官邸の下に設けられた教育改革国民会議は、教育を変える17の提言で「人間性豊かな日本人を育成する」目的のもと、資料にはぎょっとするような提案が散見されます。
「『しつけ3原則:甘えるな、他人に迷惑をかけるな、生かされて生きることを自覚せよ』の実施」「お寺などで『我慢の教育』」。「子どもを厳しく飼いならす必要があることを国民に覚悟してもらう。」「警察OBを学校に常駐させる。」「他の子どもの学習する権利を妨げる子どもを排除する権限を学校に付与する。」「家庭に床の間、学校に教壇の復活」等々。
今回の寝屋川事件を引き合いにだして、時代錯誤なこの教育改革提案が主張されることを恐れます。日本の学校教育は改革が必要ですが、こんな内容の改革が家庭、学校で徹底されたら、今回のような事件発生の危険性は一層増大するでしょう。

関連テーマの研修案内
1129日(日)10~17時 新大阪会場 (JR新大阪駅より徒歩5分) 
「しつけ・体罰・虐待:体罰の子どもに与える影響と体罰に代わる子どもとの関わり」
講師:森田ゆり  講義、グループディスカッション、アクティビティー、ロールプレイ
詳細・申し込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


2015年8月26日水曜日

誕生日祝い+大阪城笑いへのご招待



956日に「笑いヨガのリーダー養成講座」第一日目の95日は、森田の誕生日です。
17時に終了後、希望者と一緒に大阪城公園で「誕生日祝い+大阪城笑い」をします。

講座の最中なので、それぞれがお弁当、飲み物持参になります。

「笑いヨガリーダー養成講座」に参加しない方でも、「誕生日祝い+大阪城笑い」だけの参加大歓迎です。9518時にJR環状線森ノ宮駅近くの大阪城公園内の噴水の前で会いましょう。19時半ごろまで、笑い体操をしたり、お弁当食べたり、おしゃべりしたりしています。参加費はありません。ご自分のお弁当、飲み物をご持参ください。



「笑いヨガのリーダー養成講座」は大阪芦原橋での開催、まだ申し込めます。
これは、 Laughter Yoga International University 認定資格講座です。
資格取得のための試験はありません。2日間の研修に参加するだけで認定証がもらえます。

すぐ翌日から笑いヨガセッションを成功の裡にリードできるようになるための養成講座の内容を今、練っているところです。森田ゆりによるこの養成講座は今回限りで、来年の開催予定はありません。

http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


2015年8月17日月曜日

アサーティブネス研修と笑いヨガリーダー養成講座


88日、9日、今年のアサーティブネス研修(2日間)が終わりました。
沖縄、四国、関東など遠方からも参加。高校1年生からオーバー60歳、年齢、性別も多様な参加者で、その分たくさんの気づきと豊かな学びの連続で感動的でした。
 このアサーティブネス研修は、22年続けています。最初はカリフォルニア大学で5年。日本では、エンパワメントセンター主催で17年。教師、医師、弁護士、保育士、心理士、福祉士、刑務所教官から、主婦、学生、占い師、俳優、相撲部屋の親方まで! 本当にさまざまな人々が受講されました。アサーティブネス研修指導者も養成して、行政や企業で研修をできる人が誕生しました。
森田のアサーティブネス研修の特徴は、率直に表現するコミュニケーションのスキルを練習する前に、自分を深く理解する作業。自分の内側にアンテナを張る訓練です。スピリチュアルなアサーティブネスの理論と実践スキルをしっかりと構造的に学びます。
自己診断ワーク、アサーティブの10のコツ、アサーティブである権利のアクティビティなど。ペアで、グループで相互に学びあいます。
2日目のロールプレイは、感動でした。同僚に言いたいことが、実はインナーチャイルドが亡き母に言いたかったことであると判明。その方は小さな子どもになって長年母に言いたかったことを言うことが出来ました。涙と共に大きな浄化が起き、参加者に伝染しました。


そのほかにも上司にずっと言えなかったことをロールプレイで練習。森田からのコメントを受けてやり直しをし、自信がついたそうです。 
一日目の研修終了後、数人の参加者と難波淀川の大花火大会に行き、夕飯弁当食べながら楽しい時間を持ちました。

さて、9月の研修は「笑いヨガリーダー養成講座」です !!
20年前、インドの内科医ドクターカタリアが5人の仲間と始めて、今や世界的な大ブームとなった「笑いヨガ」。日本でもたくさんの笑いヨガリーダーが、医療、保健、教育、ビジネスの様々な分野で、笑いの健康講師として活躍しています。特に、老人介護、認知症ケアの現場では大人気。
この講座は、DR.カタリアのLaughter Yoga International University認定のリーダー資格が取得できます。
                          Dr.カタリアと
森田が講師なので、エンパワメントの視点から笑いの治癒力をお話しします。笑いヨガワをさまざまな場で教えられるように、1時間、30分、15分バージョンで練習します。加えて、職場や地域で簡単に教えられるチェアヨガ、マインドフルネス瞑想のやり方も伝授します。
95日、6日 10時~17時 大阪芦原橋の市民交流センターでの笑いの渦にあなたも!


95日はわたしの誕生日。「誕生日笑い」をやりましょう。
詳細・申込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/


        わたしの属するカリフォルニア・オークランドの笑いクラブ                      

2015年8月3日月曜日

元少年Aにしかできないこと                森田ゆり

「絶歌:神戸連続児童殺傷事件 元少年A」を読んだ。そしてひどくがっかりした。後半4分の1は読み続ける気がなくなった。
がっかりしたのは、多くの評者が述べているらしいこと、つまりAの反省の言葉が少ないからではなく、Aの記述が自己顕示的だからでもない。 Aが、関東医療少年院で受けた6年半に及ぶ治療・矯正教育について完璧に沈黙し、ただの一言も書かなかったからだ。
19971020日。この日、(略)僕は、鑑定医たちが『数パーセントのわずかな可能性』と観測した『更生』へと向かって、おぼつかない足取りで歩いて行った。」で第一部は終わり、第二部は「21歳の春、僕は65か月に及んだ少年院生活を終え、社会に出た。」の一文から始まる。あたかも、その間だけ削除したかのように少年院での更生の日々の全てがすっぽりと抜けているのだ。
少年院でどのような治療矯正教育がなされたのか、それをAはどのように受け、その間どのような抵抗と寛解と、困難と成功があったのか。精神医療的な、あるいは心理療法的な、あるいは社会スキル的なプログラムはどのように組まれたのか。どの時点でどのような試行錯誤と前進とがあったのか。そのためにどれだけの時間と人的資源と経済資源とテクノロジーとが投じられたのか。
逮捕後の医療鑑定で「性的サディズム」と「行為障害」と診断された14歳の少年Aの病気に対して、6年半にわたってどのような治療がなされたのか、それはどのように効果を発揮し、退院が可能となったのか。
平易な言葉でいうなら「サイコパス」という他者への共感性の脳機能に異常のあった状態から、どのように脳は感情機能を回復したのか。日本のみならず、世界でこの分野で仕事をする者ならば、なんとしても知りたい事例なのである。
原則2年間で収監を終えるところを、Aは異例で6年半まで延長されたうえで、治療更生の完了と認定を受けて社会に出た。

「少年A 矯正2500日 全記録」草薙厚子著という本が2004年に出版されている。表紙には「極秘の贖罪教育と矯正教育を初めて明かす衝撃のレポート」との宣伝コピーがついていたが、題名およびコピー文と本の内実にはかなりの隔たりがあった。当然のことだが、治療矯正教育の内容は大まかなことしか書かれていない。この著者は過去15年間に話題になった特異な少年事件をかなり突っ込んでルポしていることで知られているが、取材で書けることは当然限られている。少年Aの治療法として、女性の精神科医を母親役として疑似家族を形成し、Aを赤ん坊の愛着形成から育てなおす方法が効果を奏したことがうかがえるにすぎない。

関東医療少年院で、日本のトップレベルの精神科医と多くの専門家とスタッフ総がかりでの、6年半の歳月を投じた回復治療対応には、莫大な公費が使われている。本来その経験は社会に還元されるべきものである。法務省がそれを公開し、貴重な社会的資源とすることが出来ないのだとしたら、それを公けにできるのは、A本人しかいない。それを期待していた。
共感力をとりもどしたAは、本書の中で、自分のしたことへの罪悪感にうちのめされながら、「贖罪」するには何をすればよいのかと苦悩している。被害者の遺族に対して、自分の家族に対して、社会全体に対して贖罪をしたいと強く望んでいる。ならば、答えは明快ではないか。
遺族、家族、社会、その誰もがなによりも願っていることは、二度と同じような事件を発生させないことだ。ならばAの贖罪とは、そのために貢献することにほかならない。Aと同じような障がいを持つ人が犯罪を犯さないために、本人は、家族は、相談員は、医師は、教師は、警察は、司法制度は、児童福祉制度は、何に配慮し、何をしたらよいのかを炙り出す自分事例検討、べてるの家風に言うのなら「当事者研究」をすることができるではないか。共感性や罪意識が欠如し、誇大な自己陶酔感に浸ってしまう脳の異常作動に苦しむサイコパスは日本でも少なくない。
Aが第一部で克明に描写した幼少期から事件に至る迄の、どこでどのように外からの関わりがあれば、殺人に至る迄の「性的サディズム」行動化のエスカレートをストップすることができたのかを書くことで、犯罪予防への多大な貢献ができる。猫殺しを夢中で続けた2年間に、二人の少女を路上で襲い彩香ちゃんを殺害してから、級友のダフネ君が、あれはAの仕業だと学校内で触れ回るまでの2か月間に、 ダフネ君をして直後に転校させるほどに恐怖に陥れたAによる残虐なまでの殴打とナイフでの襲撃から、淳君殺害までの10日間に、誰がどのようにAに関われば、自分でも止められなくなってしまったサディズム行為のエスカレートをストップできたのか。第二部で、少年院を出てから11年間のどん底暮らしでいかに多くの苦労を重ねたかをぐだぐだと書き綴るのではなく、Aはそれをこそ、克明に書くべきだった。
事件に至る前の精神科医での診察、児童相談所でのカウンセリング通所、学校教師による親の呼び出し、それらひとつひとつが、行為のエスカレートに拍車をかけこそすれ、抑止につながらなかったのはなぜか。どのような対応がどの時点であれば良かったのか。そして6年半の少年院での治療矯正教育での自分の変化のすべてを克明に書いてほしい。
それを徹底的に追及して社会に提示することができたとき、Aは初めて、身勝手な自己弁護ではなく、彼の言葉を使うならば「自分自身から逃げる」ことを止め、「自分の過去と対峙」することが出来るだろう。


一杯の水に合掌 原爆忌      父・森田宗一の句です。




 明日8月4日から3日間、広島です。暑い、熱い広島の夏。 汗ぬぐいながらの平和記念公園。

いつも不思議な出会いがあります。
写真は、まだ背高女としてあちらこちらと出没していた数年前、平和公園でアメリカ・インディアンリーダーのデニス・バンクスにばったり。デニスは、わたしを見上げて「わーおおおお!!」   デニスとは「聖なる魂」という彼の半生記の本を一緒に書いて、1988年に朝日ジャーナルノンフィクション大賞をいただきました。

今年はどんな出会いがあるでしょう。

今週末のアサーティブネス研修で、広島の3日間体験をシェアしますね。



アサーティブネス研修のご案内
日時:2015年8月8~9日 (土・日)  AM1000PM500
場所大阪市市民交流センターひがしよどがわ
テキスト:『アサーティブネス研修ワークブック』(森田ゆり著エンパワメント・センター) 
サブテキスト『多様性トレーニングガイド』(森田ゆり著 解放出版)
参加費:20,000円(テキスト代は、別)
目的
アサーティブネスの方法とスキルを学び、ロールプレイで練習する。
内容
自己診断/わたしの内なるちからへの信頼/短所は長所/怒りの仮面/
否定的なひとりごとの書き換え/I(わたし)メッセージの練習/アサーティ
ブスキルのまとめ/自分の課題でロールプレイをしてコーチングを受ける
アメリカと日本で、25年間毎年実施してきて、すでに2000人以上の
受講修了生がいる最も人気のある研修。アサーティブ・コミュニケーション
力をつけるには、他者にどう対応するかのスキルを学ぶ以前にまず自分を
知ることが不可欠です。1日目は、自分を深く知るアクティビティと、他者への効果的な対応をワークシート、グループワーク、ロールプレイでしっかりと身に着けます。2日目は、参加者が自分の課   題でロールプレイをし、森田が逐一適切なフィードバックでコーチングをします。多くの修了生が、人生の大きな転換になったと感想を述べています。 

詳細・申し込み  http://www.9.zaq.jp/empowerment_center/



  • 9月の研修は、笑いヨガリーダー養成講座